2024サマーセミナーが開催されました。
7月13日(土)、名古屋市総合社会福祉会館でにてサマーセミナー2024を開催しました。 今回は、杉並区済美特別支援学校主任教諭でいらっしゃる川上 康則 先生をお招きし、「子どもの心の受け止め方 」と題して、発達につまずきのある子どもたちの具体的な支援の方法などについてお話いただきました。 現在も特別支援教育の実践者でいらっしゃる川上先生のお話は、今現場で試行錯誤している教員や子どもたちの気持ちを理解してくださるとともにとても実践的で、明日からまた頑張ろうと勇気づけていただける内容でした。 たくさんのご参加ありがとうございました。川上先生には、貴重なお話をたくさんしていただき、本当にありがとうございました。 次回は9月29日(日)、ウインク愛知・県大サテライトで第3回アセスメント学習会を開催予定です。また、ご案内をしますので、ふるってご参加ください。
2024年度 第19回定期総会・記念講演会・ペスタロッチー教育賞受賞記念特別講演会が開催されました
5月11日、名古屋市総合社会福祉会館にて、第19回定期総会・記念講演会・ペスタロッチー教育賞受賞記念特別講演会が開催されました。 定期総会では、2023年度の活動報告及び会計報告、会計監査報告がありました。さらに、2024年度の活動計画、予算案が示され承認いただきました。今年度もよろしくお願いいたします。 記念講演会では、鳥取県立総合医療センター院長代行の小枝達也先生より、「発達性読み書き障害への理解と支援~T 式ひらがな音読支援の実際~」と題し、御講演いただきました。 発達性読み書き障害(LD)の子供たちの脳の活動部位についてなど、医療の面からのお話をいただいた上で、教育現場ではどのようなアプローチにより読みの力を改善できるのか、という具体的かつすぐに実践できる方法を教えていただき、大変勉強になりました。受講者からは、「困っている子を見つられる立場であることを再認識し、今後に生かしていきたい」「ディスレクシアについて、解読とともに語彙指導の大切さを学ばせてもらいました。」「グループワークもあり、読み書き障害のお子さんについて深く学ぶことができました。」などの感想をいただきました。 ペスタロッチー教育賞受賞記念特別講演会は、本会の会長である田中良三先生(愛知県立大学名誉教授)が学園大学長を務める「見晴台学園」(名古屋市中川区)の受賞を記念して行われました。 講演では、見晴台学園長の藪一之先生と、同学園大学長の田中良三先生より、これまでの実践と教育理論についてお話をいただきました。昨年12月に広島で行われた、表彰式・記念公演の内容も伺うことができ、大変貴重な機会となりました。
早春セミナー2023が開催されました。
令和6年1月27日(土)、名古屋市総合社会福祉会館において、早春セミナー2023が開催されました。 今年度は「専門家の知見を学ぶ」と題し、愛知学院大学短期大学より相原喜子様、藍野大学より高畑脩平様をお招きして、2本立ての充実した研修会になりました。 午前中は、相原喜子先生から、「構音の基礎と指導~見立てのための+α」というテーマで、「ことば」や構音、構音障害の見立てと指導について、具体的なお話をたくさんしていただきました。相原先生は言語聴覚士でもあり、歯科衛生士でもあるので、その見地から、口腔機能として、呼吸ー会話ー食事の関連の話もしていただき、様々な場面での見立てや指導、支援がつながっていることに改めて気付かされました。 午後の高畑脩平先生は、作業療法士としての立場から「身体的アプローチによる読み書き支援」というテーマで、読みや書きに問題を抱える子どもたちへの見立てと支援について、様々な実践例を紹介していただきながら、具体的なお話をたくさんしていただきました。読むことについては、小脳との関連から姿勢や体の動きも大切だということ、書きについては、発達の段階を考えると、模写させる前に教師や周囲の人が書くお手本を見せて、動きを真似させることが大切であることなど、様々な新しい気付きをいただきました。 二人の先生方に、国語やコミュニケーションに関する、様々なご示唆や具体的な支援法を教えていただき、内容の濃い研修となりました。相原先生、高畑先生、ありがとうございました。また、ご参加いただきました皆様もありがとうございました。 これで、今年度の主な活動は終了いたしました。来年度もよろしくお願いします。
フォーラムinあいち2023が行われました。
令和5年11月25日(土)に名古屋市総合社会福祉会館でフォーラムinあいち2023が行われました。 今回は椙山女学園大学教育学部准教授の丹羽健太郎先生をお招きして、『さみしさをもつ子どもたちへの対応-家庭環境に配 慮が必要な子どもたちに学校でできるポイント―』と題して、虐待についてのご講演をしていただきました。 学校が虐待児童生徒を受け入れる難しさ、虐待や通告の実態、虐待を受けた子どもたちのこと、その子たちへの教育的支援、連携・協働の必要性などについて、臨床の実践に理論を交えながら具体的にわかりやすく伝えていただきました。 また、障害児と虐待の関係や特別支援の視点を取り入れた考え方、虐待に対しての合理的配慮など、特別支援教育に身近な話題についてもお話しいただき、とても勉強になりました。 質疑応答もたいへん盛り上がりました。 丹羽健太郎先生、ありがとうございました。
日本LD学会第32回広島大会自主シンポジウム発表報告
去る10月9日日本LD学会広島大会におきまして愛知特別支援教育研究会企画の自主シンポジウムを実施いたしました。企画者と司会は本会事務局から、石川豊和さん、水野達也さんが参加しました。話題提供者として、名古屋市から武田綾香さん、豊田市から東俣淳子さん、本会事務局から長谷川圭子さんにより、それぞれ実践を通した発表がありました。テーマは「『ことばのつまづき』の見立てと発達支援」です。武田さんからは「在籍学級との連携を深めながら、アセスメントと見立て、指導を繰り返し子どもの『楽しい』を引き出した」事例、長谷川さんからは「捉え方の異なる保護者、本人、在籍学級担任に関係機関から得たアセスメント結果を伝え、協働して指導を行った」事例、東俣さんからは「中学校において教育と医療が連携し読み書きの支援を実践した」事例の説明がありました。指定討論者には愛知学院短期大学の相原喜子先生、本会の田中良三会長が参加し、事例発表の後はシンポジウム参加者も加わり、活発な質疑応答が行われました。
2023サマーセミナーが開催されました。
8月5日(土)に東桜会館でサマーセミナー2023が開催されました。今回は待望の筑波大学の大六一志先生をお招きし、「WISC‐Vを教育現場でどう活用できるか」と題して、WISC‐Vの解釈と活用についてお話いただきました。申し込みをしていただいた方も多く、締め切り日よりかなり前に募集定員を超え、90名近くの方にご参加いただきました。 対面による5時間の講義という長丁場でしたが、大六先生にはとても詳しく、具体的な事例もたくさん話していただき、ときどきWISC-V作成の裏話やユーモアを交えたお話もあり、楽しく、充実した5時間となりました。 講義後の質疑応答でも、たくさんの質問があり、検査結果の伝え方や現在作成中の補助検査の扱い、片付けやギフテッドについてなど、多岐にわたる質問にも丁寧にお答えいただきました。 たくさんのご参加ありがとうございました。そして、大六先生には、貴重なお話をたくさんしていただき、本当にありがとうございました。 次回は9月24日(日)に県大サテライトで第2回アセスメント学習会、11月25日(土)に名古屋市総合社会福祉会館でフォーラムinあいちを開催予定です。また、ご案内をしますので、ふるってご参加ください。
フォーラムinあいち2022が行われました。
2022年11月26日(土)の午後1時から3時まで、フォーラムinあいち2022が行われました。 今年はオンラインによる開催で、約50名の参加で行われました。「愛着障害と発達障害の理解と支援」というテーマで、和歌山大学の米澤 好史氏にご講演をいただきました。 愛着(アタッチメント)の原理とその誤解について、愛着障害の子どもの発見のポイント、愛着障害と発達障害の関係・見分け方、愛着障害児とのかかわり方について、関係性の支援の実際とコツなど、愛着障害についての様々な内容を、愛着形成のための3つの基地機能(安全基地、安心基地、探索基地)を中心に、わかりやすく話していただきました。 2時間では収まりきらない、もっとお話をお聞きしたい、内容の濃いお話でした。 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 米澤先生、貴重なお話をありがとうございました。
日本LD学会第31回大会(京都)の自主シンポ参加報告
10月29日(土)、30日(日)、晴天の下、京都国際会館で開かれた日本LD学会第31回大会に参加してきました。 今回は、「適応に困難さを示す児童生徒への支援の在り方」として、水野達哉先生(江南市立藤里小学校)、稲生加代子先生(京都教育大学大学院)、鈴木裕幸先生(COCORO相談室)のお三方に話題提供をしてもらいました。 水野先生からは、小学校通級での、吃音がある不安から不適応を起こしていた児童に対しての実践報告でした。MIMなどを活用した指導を通して、児童が自信を持ち、読むことや人と関わることが好きになっていく様子や通常学級との連携について話していただけました。 稲生先生からは、中学校通級指導について、不登校生徒の支援における役割や「わっか編み」の活動、さらには実際に指導に当たった不登校生徒に対しての実践を報告していただきました。事例報告では、本人との関わり、保護者との関わり、学校内外の関係者との連携などについてと本人の変容について話していただきました。 鈴木先生からは、アタッチメントなどに問題を抱えている小学生児童に対する特別支援学級での実践と相談室での実践を 報告していただきました。保護者や学校と連携しながら、様々なアセスメントやアプローチを通して、支援環境や支援方法を調整し、ストレスを軽減したり、強みを伸ばしていくことで自己肯定感を高めていった児童の話をしていただきました。 指定討論では、田中良三先生(愛知県立大学名誉教授)と堀部要子先生(名古屋大学文学部)から、話題提供者の先生方の支援方法などのポイントをわかりやすく整理してコメントしていただきました。ありがとうございました。 立場の違う三人の先生方の支援や連携についてのお話から、いろいろな視点や支援法について学び、考えることができた、充実したシンポジウムになったと思います。企画担当者の先生、話題提供者の先生方、指定討論者の先生方、ありがとうございました。
2021年度 第16回 定期総会・記念講演会が行われました
5月15 日(土)12 時20 分より、名古屋市総合社会福祉会館からZoom による定期総会が行われました。本研究会初めてのオンライン開催ということで、準備や運営などで参加された皆様にいろいろとご不便をお掛けし、大変申し訳ございませんでした。そして、無事に全ての議事が承認されましたので、ご報告いたします。 後半は、東京からZoom による記念講演会が開催されました。「新学習指導要領のめざす特別支援教育」というテーマで、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官の加藤典子氏にお話していただきました。新学習指導要領に記載されている「特別支援教育の在り方」「学びの保障と充実」というキーワードから、改訂のポイントをわかりやすく説明していただきました。その他、教育課程編成のあり方や「GIGA スクール構想」と特別支援教育との関連、さらに今年度特別支援教育関連予算が付いた「切れ目のない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実」について詳しく説明していただきました。 加藤先生から最後に、教員の使命は全ての児童生徒を誰一人取り残さない教育を目指すということ、この大転換期にあたって我々大人が一人で変わろうとするのではなく、学校と地域が一体となって変わっていくことが大切であるというメッセージをいただきました。質疑応答も活発に行われました。最後は、50 名を超える参加者のほとんどの方が顔を出して加藤先生に拍手を送っていただき、大盛況のうちに会を終えることができました。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
早春セミナー2019 見えにくさのある子ども達の学習を支える~WAVESの基礎を知ろう~
2月2日、今年度最後の研修会は茅野晶敬先生をお招きし、WAVESの基礎について学びました。茅野先生は、WAVESの著者である大阪医科大学LDセンターの奥村智人先生の下で学ばれ、2015 年に「視覚発達支援あおぞら」を高蔵寺に開設されて以来、子ども達の視知覚認知と学習の面に精力的に取り組んでおられる先生です。 研修会では、視覚関連機能でつまずきがある子どもの支援に向けて状態を把握するWAVESのよさを、私たちに大変丁寧にご教授くださいました。 まず、私たちは実際に「線なぞり」や「形なぞり」などの検査を行ってみました。ただし、半分に縮小された用紙に、非利き手でなぞるという課題です。茅野先生は、検査の内容、方法を伝えるだけでなく、実際に視覚関連で困り感を抱える子どもが示す困難さについて、理解を深めさせてくれました。私たちは、課題を行う中で、焦りや苛立ち、不安なども合わせて心理的に体験することができたので、子どもたちのために具体的な支援方法を考えようという気持ちにさせられました。 また、検査結果プロフィールを見て、どう解釈をするか。例えば、「数字みくらべ」の評価点が低い場合は、眼球運動やデコーディングの問題が関わっていて、読みに関する支援が必要があるなど、解釈の方法を分かりやすく教えていただきました。そのおかげで、四つのプロフィール表がどの解釈に当てはまるかという演習では、すべて正解をした参加者が多かったように思います。 参加者からは、WAVESで解釈したことを生かして、どのように子どもたちにトレーニングをしていくのかもっと知りたいという声が上がりました。障がいのある子どもは、「見る力」が弱いためにさまざまな学習上の困難を抱えている場合が少なくありません。受付締め切りの一週間前に定員に達した今回の早春セミナー。もっと『見る力』をサポートしトレーニングするための力量を付けたいと思える研修会となりました。茅野先生、ありがとうございました!
「WISC-Ⅳ 検査結果の解釈と支援」について研修しました。
今年度の「フォーラムinあいち」では、10月26日(土)に、NPOフトゥーロLD発達相談センターかながわ 安住ゆう子氏をお招きして、研修会を行いました。県内外から90名ほどの参加者が集まり、共に学び合いました。 前半は、WISC-Ⅳの構成と測ろうとしているもの、そして事例から解釈の流れの説明を受け、S.E.N.S取得者には分かりやすく学び直しをすることができました。代表的な12の指標パターンを示していただけたので、換算アシスタントの1枚目のみを手にしたときに、担当の児童生徒の支援のイメージがもてるようになりました。 後半は、事例から検査結果の解釈、そしてどんな支援方法が効果的なのかを、近くの参加者と話し合う演習を行いました。それぞれの立場でもたれている見識を生かして意見交換ができたので、話し合いはとても盛り上がりました。今後もWISC-Ⅳの報告書(所見)を手にする機会があったときに、書かれていることが理解ができ、特性を生かした支援ができるように会員相互で研鑽を積んでいきたいと強く思いました。 安住ゆう子先生、丁寧に分かりやすくご指導いただき、本当にありがとうございました!
学習会2019 ICTを教室に生かす
9月1日、金森克浩先生(日本福祉大学)をお招きし、「ICTを教室に生かす~読み書き障害の子ども達への支援のあり方~」をテーマに、ご講演をしていただきました。 初めに、ICT活用の国の政策と金森先生のお考えを伝えてもらいました。その後、活用事例を紹介していただいたり、受講者が主体的に「iPadを使ってどのように授業に活用できるか」をグループで1台のipadを囲んで話し合ったりしました。 特別支援教育とは、「健常の子どもと同じにする」ことではなく今ある力を大切にすること、困難を克服するとは、「障害を直す」ことではなく、その「手段」を保障することという金森先生のお言葉が印象に残りました。 活用事例では、魔法のプロジェクトという障がいを持つ子どものためのモバイル端末活用事例研究や、DO-ITというテクノロジーによって障害や病気のある子どもたち、若者たちが「学校で自らのニーズに適した方法で学ぶ権利を得ること」、「初等教育から、中等教育や高等教育へ進学すること」、「学校教育を卒業した後、社会で活躍するリーダーとなること」を応援するプログラムなどを紹介していただきました。たくさん紹介していただきましたが、全て資料となるホームページのアドレスやQRコードを示していただいたので、受講者が自宅で復習できるように配慮していただけました。 演習では、各グループに金森先生のiPadが配布されました。そこには、授業で使える様々なアプリが入っていました。「読む」「書く」だけでなく、「計算する」「聞く」「考えをまとめる」など、子どもたちをどう支援していくかを受講者で話し合い、活用方法を考えることができました。 ICTを利用して、上手に情報収集し、楽しく学び、コミュニケーションの手段として有効的に活用していくことのできる可能性を、肌で感じることができた学習会となりました。金森先生、本当にありがとうございました!
早春セミナー2018 外国籍の子どもたちの日本語教育
2月3日(日)、NPO法人「にわとりの会」代表の丹羽典子先生をお迎えして、早春セミナー2018「外国籍の子どもたちの日本語教育 -学習言語の習得を目指してー」が行われました。会員外も含めて57名の方が参加され、大盛況の会となりました。 講演の前半では、先生の自己紹介や事例の紹介、外国籍の子どもたちの年齢や時期に応じた学力向上のための工夫、できることから始めること等についてお話していただきました。 子どもたちの状況や実態は一人ひとり異なることから、「個別の指導計画」に基づく指導が必要であることや、担当できるのは期間が限られていることから申し送りが大切であることなど、特別支援教育で大切にしてきたこととまったく同じであると感じました。 講演の後半では、参加者がグループになって、にわとりの会の教材を実際に体験させていただきました。音の出る漢字カードでは、音声ペンでタッチすると、日本語や各国語で音声が流れます。リンゴをかじる音など、効果音が入っているカードもあります。参加者のみなさんも、すっかり子どもにかえって、夢中で音声ペンを操っていました! 文字・イラストを見ると同時に音声を聞くことで、漢字を記憶しやすく工夫されていました。子どもの「多感覚器官での活動」を大切にすることは、やはり特別支援教育と共通する有効な支援であると感じました。 日々の指導に大変参考になるセミナーとなりました。丹羽先生、ありがとうございました!
フォーラムinあいち2018
平成30年11月11日(日)、東京学芸大学の馬場幸子先生をお迎えして、フォーラムinあいち2018が開かれました。53名の参加者でした。 今回のテーマは「スクールソーシャルワーカーの仕事 ~教育と福祉の最前線~」。教育の分野でますます活躍が期待されるスクールソーシャルワーカーについて、その役割など、基本的なところから教えていただきました。 地域コミュニティーの脆弱化や核家族化などで親が孤立しやすく、子どもを育てにくい社会になってきていると先生は言われます。問題を人と環境との相互作用で生じると捉え(エコロジカル視点)、「人と環境の関係性」を改善し生活上の困難を抱えている本人やその家族が自ら対処する能力を高めるように支援するSSWの役割は、現在の学校でまさに必要とされているものだと感じました。 学校で子どもに起こっている多様な問題は、教員だけで支援していくには限界があります。SSWをはじめとして、いろいろな専門家とつながっていきながら、連携して支援していく時代にすでに入っていることを実感させていただいた研修会でした。
子どもの学びを支える支援のアイデア~算数を中心に~
昨年度に引き続き、杉本陽子先生(飯塚市立飯塚小学校)をお迎えして、サマーセミナー2018が盛大に開催されました。72名の参加者で満員御礼でした。 今年のテーマは、「子どもの学びを支える支援のアイデア~算数を中心に~」。 「数の概念がつかみにくい子」「計算が苦手な子」「意味の理解が苦手な子」「覚えることが苦手な子」「見え方に困難のある子」「不器用さのある子」の学びを支えるための教材を、たくさん紹介していただきました。 参加者は、杉本先生が作られた教材を実際に手に取りながら、その背景となる理論や使い方、そして作り方も教えていただきました。100均で簡単に手に入る物で、子どもたちの学び方に基づいた、大喜びしそうな教材ができることにびっくり! ゲームや替え歌などもたくさん交えて、1日があっという間の楽しい研修会でした! 杉本先生には、来年度のサマーセミナーにも来ていただくようお願いしました。今回学んだことを授業に活かして、また杉本先生のお話を聞くことができるのを楽しみにしています!
第13回定期総会・記念講演・授賞祝賀会を開催しました
<定期総会>(会員の出席46名)、 2017年度の「活動報告」「会計報告・監査報告」 2018年度の「活動計画」について,承認を受けました。 「予算」については手違いで別の資料であったため、正しいものを会場に掲示し会員の皆様のご判断を仰ぎました。総会では2時間の研修のためポイントをお出しできないのに、案内に1ポイント出ると書いてしまいご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。 <記念講演>(参加者71名) 「病気入院児を訪問教育して」山本純士先生(大府特別支援学校教諭) 私たちが日頃、あまり知る機会のない病弱児の訪問教育の実態について知ることができました。 ・訪問教育は、(病院内の教室で毎日授業を行う院内学級のない)病院に長期入院している子に、週3回2時間ずつ訪問し1対1で学習する制度である。大府特別支援学校には、訪問教育の担当教諭が13人いる。愛知県は全国でも早くから取り組み始めている。 ・子どもたちの気持ちが落ち込んでいたり、体調の良くないこともあり、授業はトランプやゲームなどの楽しいことから始めたり、その子の好きな内容に切り替えたりしている。時には、工作やお菓子作りも行う。また、学校に戻ったときに学習空白ができないように学習方法を工夫している。 ・子どもは訪問教育を受けることで刺激を受け、未来に希望をつなぐようで、毎回の訪問授業を楽しみに待っていてくれる。けれど、つらく悲しい別れも何度もあった。言葉では言い表せない。 今回は学生さんも多く、最後に山本先生持参の何冊ものご著書を、「これからの子どもたちの教育に役立ててほしい」と、プレゼントなさっていました。 <授賞祝賀会>(参加者19名) LD学会より、神谷先生の「功労賞授賞」と田中先生の「名誉会員授賞」を祝して、祝賀会を開きました。花束、プレゼント贈呈を行い、お二人の先生からお話いただきました。 神谷先生の子どもの成長や発達に関してのご造詣の深さや、田中先生の文科省でのご活躍のご様子に感銘を受けるとともに、会員から送られたお祝いメッセージに、両先生の愛知の特別支援教育にかける熱意や温かなお人柄を知ることができました。 とても楽しく、あっという間の2時間でした。 両先生を顧問、会長にいただくこの研究会が今後ますます発展し、愛知の教育を牽引する研究会にせねばと、参加者一同、身を引き締めました。 [資料]2013年:神谷育司先生 名誉会員授与, 2015年:田中良三先生 功労賞授賞,2016年:田中良三先生 名誉会員授与,2017年:神谷育司先生 功労賞授賞
授賞のお知らせ
<会報100号より>
現会長の田中良三先生が、LD学会の名誉会員を授与されました。
また、前会長の神谷育司先生は、功労賞を授賞されました。
おめでとうございます!
愛知の会として、大変、喜ばしく誇らしいお二人の授賞です。
愛知の会がますます発展いたしますように。
今年度最後の研修会、盛り上がりました。
性教育について、大事なことだと誰もが思いながら、どの場においても第一歩を踏み出しあぐねていることを時折耳にします。それを象徴するかのように、今回は様々な立場の方が参加されました。 講師の伊藤先生は、障害者権利条約に示される「障害者も恋愛、結婚、家族・子どもをもつ権利がある」という理念に基づいて、障害のある人も人として幸せになるための「性と生」について熱く語られました。 「セクシュアリティが十分に発達するためには、ふれ合うことへの欲求が満たされる必要がある。」そのために、「育つ過程でスキンシップが必要なときにたっぷりスキンシップを保障すること」「二者関係を積み重ね、人はそれぞれ心地よさが違うことを学ぶこと」が大事だと教えていただきました。 それについて、「セクシュアリティの発達の道筋試案」の表に生後3年ごとの区切りでセクシュアリティの発達を詳しく示され、性においても下から順番に育てなければならないこと、育っていない部分は立ち戻らなければならないこと、自分を大切にされ育てば、「自分はこれくらいの距離が心地よい」と自分に気づき、相手にも言えるようになることなどの話はとても参考になりました。 よく「人との距離は片手分」と言われていますが、その指導によってバスや電車に乗れなくなった自閉症の子もいるというお話があり、ではどうしたらよいかの現場の困惑が、最後の質疑応答に表れていました。 会場に何種類かの本をご用意していただきましたので、購入した本をじっくり読み、これから真剣に向き合っていきたいと思いました。
充実した話し合いのできた「ちゃんこ鍋風学習会」
5つのグループに分かれ、それぞれのテーマについて話し合いました。どのグループも時間が足りないほど、白熱した意見交換がなされました。 ①教材・教具・教室環境の工夫 認知の問題や不器用さから様々な苦手感をもつ子どもたちに、具体的な教材や脳の発達を促す運動、図工での効果的な取り組みの紹介もされた。保護者に目に見える形でどう成長を伝えるかのアイデアも参考になった。 ②校内・外部機関とのコーディネート 縦(幼保から高まで)と横(校内・家庭・地域)をつなぐことの大切さ、地域資源をどう活用するか等について、半田市や特別支援学校地域支援部の先生のお話が参考になった。福祉と教育の連携をスムーズにするための方策の糸口がわかった。 ③通級指導教室の指導内容や指導方法 その1 参加者それぞれの市町の状況について紹介し合い、その中でも知立市のシステムが参考になるとのことで、全体会でも紹介された。その他、グループ通級の方法、担任の先生への「マル秘」記号をつけた記録、中学校の問題について話し合われた。 ④通級指導教室の指導内容や指導方法 その2 通級担当者・担任・保護者との、「通級ファイル」を活用しての効果的でより良い連携について話し合われた。また、「うまくいった例」を出し合い、互いに大変参考になった。性の問題が浮かび上がった。2/4の講演会を楽しみにしている。 ⑤幼児・児童・生徒・保護者等の対応 障害受容に至らない保護者との連携の難しさ、支援員の立場での苦労、コーディネーターの動きの見えにくさなどが出され、今後考える視点を与えられた。また、ご自身が障害をもつ子の親であり教師である方からは、参考になったことやジレンマに悩むことなども出された。 <最後に「安城特別支援学校 角谷悟先生」のお話> いつも真摯に子どもたちや支援者と関わられる先生のお話には、指導や支援の参考になることや、心温まる内容がたくさんありました。 中でも、「先生は、どうしてぼくが分からないことが分からないの?」という素朴な子どもの言葉に、ガ~ンと脳天を衝かれた思いがしました。子どもたちの状況や困難を想像するだけでなく、本人と話し合っていくことが一番必要なことだと原点に返ることができました。
日本LD学会第26回大会(栃木):自主シンポジウムの報告
「自分らしい生き方を実現するために~新たな連携・協働を求めて~」
障害のある人も自分らしい生き方を実現するために、生涯にわたる発達や学びを支援していくことが大切です。そのために、地域における連携・協働のあり方について企画、提案しました。
(1)「小児科医からみた特別支援教育」 (国立病院機構三重病院小児神経科医 高橋純哉氏)
・小児科医は、様々な疾患の治療に携わるが、常に子供たちの発達を念頭においた対応が求められる。「一般小児科のための心の診療テキスト」(2008年 厚生労働省)で[判断と初期対応ができることが望まれるもの]の中に、不登校、発達障害、不適切な養育(こども虐待)などを明記している。
・発達障害は、てんかん、心身症、チック障害、睡眠障害、排泄障害、食行動の問題、習癖など様々な疾患や障害を併せ持つことが多く、医師の外来だけでは対応できない。教員、心理士、作業療法士、言語聴覚士、療育担当者、子育て支援課、児童相談所などの専門職・行政職が保護者と連携を取りながら対応を進める社会的仕組みをつくる必要がある。
(2)「子どもたちをTaxpayerへ」(医療法人橿の木会さわやか歯科医 吉田美香氏)
・口が健康であることが、身体発育、精神発達を促すと言われていることから、周産期からの支援、歯が生える前からの口腔機能発達支援なども行っている。特に、発達の遅れた子供たちに顎顔面の劣成長が多く、睡眠障害、呼吸障害もある。
・日本では子どもは親のものであるという認識が強いが、未来をつくる子どもたちは社会の宝であるとの認識のもと、発達障害児を含めてインクルーシブな子どもたちの成長発育の場の再構築が必要である。
(3)「発達障がい青年の大学を拓く」(法定外見晴台学園大学 大竹みちよ氏)
・障がいのある人たちの教育年限延長の声が高まり、発達障がいの青年達も自分らしく、豊かな人生を送るための学びの場が保障されるべきと考え、見晴台学園大学を開校した。
・カリキュラムは大学教育に準じ、取得単位数は2年間で134単位である。授業は少人数のセミナール形式で行い、個々のニーズに応じた学び方をしている。発達と学習に困難を抱える学生の大学における学びについて考える。
「子どもたちに『できた』喜びと『わかった』の自信を!」
~読み書き算数で困っている子どもへの具体的な指導方法について~ 72人の参加者でいっぱいの会場。
一人一人の子どもを大切にされる温かい杉本先生のお心に触れながら、アイデアいっぱいの学習ゲームや学習方法を、理論の裏付けに納得しつつ、一日を存分に楽しみました。
語彙を増やすには、まず言葉に対する興味を呼び起こすことが大事。絵を見て、文字チップを置く。文字チップは、順番を入れ替えて文字を並び替えて言葉を作るゲームにも使える。「おいといて」と、パスすることの経験をさせる工夫もあった。
特殊音節は、読みの流ちょうさを育てるためには、ぜひ習熟してほしい。そんな願いを込めて、拗音・拗長音の言葉カードを使った学習ゲームをたくさん紹介していただいた。
三つの拗長音を含んだ言葉を使ったカードゲーム。絵カードと合わせて文字カードを置く。裏を向けるだけで答え合わせができる優れもの。やった!と大人も純粋に喜ぶ。
漢字は、絵や体験を呼び起こしイメージを持たせると思い出す手がかりができる。絵と読みと漢字のゲームで楽しみながら、まず読めること。書くプリントにも配慮がいっぱい!
3,4年生で習ったローマ字は、50音をカードにし、絵に合わせてローマ字チップを置いていく。めくりながら何度も目にするので、いつの間にか読みを覚えてしまう。ゲームの中で規則性も理解する。
数の概念がつかみにくい子には、「数字」「読み方」「指」「ドット」「イラスト」のカードで、納得できるまでゲームを楽しませよう。
他にも九九のカードゲームや不器用さに対応する道具の紹介や、ビジョンの問題にも言及し、子どもの困難を広くとらえ、楽しく学習する中で力をつけていく方法をたくさん学びました。
これからの特別支援教育によせて
平成29年6月4日(日)13:30~16:00
演題:「生涯学習を見通した特別支援教育の動向」
講師:田中裕一氏(文部科学省 特別支援教育調査官)
場所:東海市市民活動センター「ソラト」
58人の参加者を迎え、充実した時間を過ごすことができました。
以下、お寄せいただいたご感想です。
文科省がこれからどのような取り組みを行っていくのか,最新の情報をいただきました。合理的配慮やインクルーシブ教育に対する行政側の姿勢や、苦労なされている現場の職員の気持ちなども取り入れながらの講演で、学びの多い学習会でした。
「自立活動で教科の題材を使うことはできる。国語のスイミーを使って対人関係を学ばせるとか、調理実習を通して手順通りに行うことの大切さを学ばせる、漢字練習を通して自分にあった漢字の覚え方を身につける……等々ということはOK!しかし、教科の内容を教えるというのは×」という話を聞いて、思い当たることがいろいろありました。生活単元と称して子どもたちにいろいろ調理をさせる機会を作りましたが、自分にはそういう視点が欠けていたと反省しました。
ありがとうございました。
第12回 総会・記念講演が開かれました
総会、
16年度の「活動報告」「会計報告・監査報告」
17年度の「活動計画」「予算」について話し合われ、承認されました。
記念講演(65名の参加者を迎えました)
「反抗挑戦的な言動への対応と支援の実際」小栗正幸氏
(特別支援教育ネット代表、宇部フロンティア大学臨床教授)
小栗先生は、3点にまとめてお話くださいました。
「言い聞かせ方事始め」、子どもたちの心ない言葉には「的外し」から入って、肯定的なフィードバックを用いた対話をすることが大切。
他者認知に必要な想像力が困難な場合は、文化風俗の違いや知識として教えるのが納得しやすい。
「虚言指導の留意点」、うそをあばこうとせずその話題にのったり、自作自演も何かを訴えたいととらえていつでも相談にのることを示したりするのがよいこと、
時にはうまく不安を用い今後の抑制を図る。
「反省指導の留意点」、言い訳は聞かず行為のみを問題にすること、未来の結果の違いを想像させることが今後の抑止力になる。
最後に、「愛情欲求という言葉は承認欲求に置き換えよう」という言葉で締めくくられました。
小栗先生の少年院でのご実践は全国の少年院に広がり、少年の再犯率を下げているそうです。
どの言葉にも、少年に真摯に向き合ってこられた小栗先生のお人柄がにじみ出ていました。